MY BEACH TOWN #6
職人はやっぱりカッコイイのだ。
Byron bay-6
Contributed by Akemi Kan
Photo by Chrystal Dawn
Trip / 2018.07.31
だから誰もあんまり仕事をしないと思っていた。でも違う。
世界に誇るビーチタウンは、世界に誇るモノを作り出していた。
知る人ぞ知るサーフィンのメッカ「バイロンベイ」。ここで密かに楽しみにしていたのがサーフショップ巡り。日本ではあまり見かけないボードやアイテムにたくさん出会えるはず。と、カリフォルニアでスリフトショップを渡り歩くように、ギラギラとした目つきでお宝探しに出かける。

向かったのは「McTavish Surf Shop & Café」。世界中で知られる名シェイパー、ボブ・マクタビッシュが2年前にオープンしたこの店は、広くて天井が高く、かなり解放的。たくさんのサーフボードが並べられるなか、オーストラリアブランドのウエアやサーフギアもしっかりフォロー。イケメンオージーが立つカウンターで飲んだコーヒーも美味しかった。

このブランドの何がすごいかって、それは1960年代からサーフボードのシェイプを続けるボブ・マクタビッシュ本人が、今もシェイプをしているということ。1960年代と言えば、世界中でサーフィンブームが起こった時代。1959年に16歳の少女とサーファーの日々描いたアメリカ映画『ギジェット』の影響で、公開前はわずか5000人だったカリフォルニアのサーファーが300万人に膨れ上がったというエピソードも残るほど、世界はサーフィンの虜に。もちろん、オーストラリアでも多くのサーファーが生まれ、ボブは彼らのために数えきれないほどのボードを削ってきた。

シェイプルームにさりげなく飾られた写真やフライヤーにも、かなり歴史を感じる。この時はまだ生まれてないけど、古き良き時代にタイムスリップした気分。

サーフボードはシェイパーがボードを削るだけじゃなくて、形を整えるサンディングマンや、ボードに樹脂をつけるグラッサーなどの仕事もある。写真の右上にいるのが、ボブ・マクタビッシュと数十年コンビを組んできたグラッサー。「彼がいるから、最高のボードができる」と、ボブ自身もかなり信頼を寄せる人物。

ちょっとお茶目なボブさんは現在73歳。でも驚くのはそれだけじゃなくて、芸術品とも言えるこの美しいサーフボードの仕上がり。ミニマルなデザインと艶やかな輝き。海に持ち出すのがもったいないほど完成度が高い。この日も超有名ハリウッドスターが、お忍びでサーフボードを購入にきていた。世界中のイイモノを見てきた(であろう)スーパースターだって魅了されるクオリティなのだ。

現在は同じくシェイパーである息子のベンと一緒に「マクタビッシュサーフボード」の名を守り続ける。今でも年間1000枚以上のサーフボードを生産しているらしいけど、もちろんすべてハンドメイド。人生のすべてをボード作りに注ぎ込んできたであろうボブの味わい深い手は、なんともかっこいい。職人たちのその真摯な態度に今日は感動! 明日ビーチへ出かけた時には、バイロンベイの海を正座で眺めさせて頂きます!
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Kan Akemi
編集・ライター。出版社での雑誌編集を経て独立。旅を中心に、サーフィンやアウトドアのフィールドでも活動。好きなものはカリフォルニアと海。anna magazine創刊から、コントリビューティング・エディターとして携わる。












































































