
To Me, Somewhere in the World #49
要らない思い出は飲んで捨てて
Contributed by Yoko
Trip / 2022.10.19
未知なモノすべて知らないことを知りたい、欲望に忠実に生きるフリーランスのWebライター・編集者Yokoさん。日本国内の旅の話をリアルタイムで、時に振り返りながらつづる旅連載。
#49
長く生きれば生きるほど記憶の引き出しが増えていく。過去の成功も失敗も、誰かと重ねた時間の記憶も。そういった時間の全てによって今の自分があることに変わりはないけれど、どうか開けずにいられたら、と願う引き出しがないわけじゃない。

そんな夜は飲みに行こう。1杯で二日酔いになる日々を経て、お酒を飲むときは多くの水を飲むべきだと学んだ。チェイサーは翌日のコンディションを大いに左右する。

店から店へ飛んでいく夜。忘れたい何かには都合よくフタをして、味だけを楽しむ。一人でも、同じカウンターに並ぶ誰かとでも、カウンター越しの誰かとでも。
どんな時間の過ごし方をしていても、頭をカラにしようとする作業を並行して行うようになったのはいつからだろう。そんな昔のことは、もう思い出せない。

今まで、現実から離れるような旅も、現実を理解するための旅も、現実の延長のような旅もしてきた。共通して求めていたのは日々をリセットするための「空白」。頭をカラにすると言う意味では、お酒を飲みたい夜に求めているものもたぶん一緒だ。
「空白」。特定の記憶を意図して忘れることができたら、どんなに良いだろうと思う。それができない以上はどうにか記憶と気持ちの折り合いをつけるか、忘れるほど何かに没頭するしかないのに。

要らないものは捨てて、ありたい自分に更新していたい。あ、「要らないもの」が存在すれば、の話なのだけれど。
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Yoko
長野在住、北海道出身。世界一周予定が新型コロナウイルスの影響で中止に。東京から葉山、長野へと拠点を移しつつ、国内外を自由に旅している。レバンガ北海道(#11)とアイスが好き。フリーランスのWebライター・編集者。









































































































































