London, Can you wait? #3
Where is my bike? vol.2
Contributed by Chika Hasebe
Trip / 2024.03.22
#3
今回は過去の話(現在にも繋がっている)。日々の移動の相棒である自転車について、色々苦労したので記録しようと思います。
自転車の色もコーディネートの一部
三代目
二代目を失ってから三代目を見つけるまでかなり時間がかかった。二代目のときと同じくOlioというアプリを使って探したが、前回より苦戦。サイズが合わない、ボロくて今すぐ修理が必要など、とにかく自分に合うものがない。
中古品に限らず新品も視野に入れてネットで探し始めたら、Argosという量販店の通販で新品が150ポンド(約28,300円)で売られているのを発見した。中古品でもそれぐらいの値段はするので新品にしてはかなり安い。それになんてったってデザインがカッコいい。しばらくネットショッピングしていないと忘れがちだが、探し物がなかなか見つからないときはネットでポチるに限る。早速購入した。
£100台で買える新品自転車
だが、ここから「たらい回しの嵐」がやってくる。配達は、家か近くのArgos提携スーパーSainsbury’sでの受け取りを選べたのだが、家にすると配送料がかかるので店舗受け取りにした。受け取りに行ってみて、まさかの自転車がパーツのまま配達されたことに気づく。スーパー内で一人唖然。受け取ってすぐ乗って帰るつもりだったので、比較的遠いこの店舗からほぼ等身大の段ボールを持って歩いて帰るのは苦行にも程がある。その場で返品して、この注文をなかったことにした。返品手続きも、サクッと店員さんに言えばできるのかと思いきや、こちらから永遠に応答待ちのカスタマーセンターに電話しなければならず、かなり面倒。電話片手になんだったんだろうと思いながら手ぶらで帰宅した。
自転車は部品で届くということを学んでから、再度Argosで同じ商品を注文。今度はちゃんと家に届くように設定した。だが、これも後に仇となる......。
ピンクから青のグラデーション自転車
ひとまず届いたので開封してため息。なんとなくわかっていたが、一人じゃ組み立てられない。同居人にお願いして、一緒に手伝ってもらった。彼も「自転車なんて組み立てたことないし、素人が乗り物のネジ締めるなんて怖いよね」と呟きながらもなんとか完成。案外簡単にできた。
組み立ててみると、想定よりサイズがでかい! いくら前傾タイプとはいえ、サドルからハンドルまでの距離が遠すぎて腕がブレーキに届かなかった。やばい、やばすぎる。というのも、まずさに気づいたのは、走り出して大通りに出てから。組み立てたときは乗り慣れてないからちょっと姿勢を変えたりしたら、乗り心地は調整できるのかなと甘くみていた。だが、走り出してみると、これは調整可能な次元ではないことに気付いた。しかしもう帰れない距離まで来ている。ここで引き返すとバイトに遅れる。その日はほぼブレーキが使えないまま、恐る恐るロンドンの街を走った......。こんな恐怖体験、二度とできないだろう......。
たまにサドル高過ぎやろがい!みたいな自転車を見つける
そうして無事組み立てられたにも関わらず、サイズが合わないためまたもや返品の運命を迎えることになった自転車。ただ今回は開封して段ボールも捨ててしまったがために、返品作業が難航。返品の際に通販業者に取りに来てもらう場合は、原状回復するようにと注意書きがされていた。
ならば店舗に直接持ち込み返品しようと、一回目の注文で店舗受け取り指定したSainsbury’sに持っていった。そこでスタッフに、ここは受け取りだけなので、返品は別のSainsbury’sじゃないとできないと突っぱねられた。ならばと該当店舗名を聞いて、面倒だがSainsbury’s②に向かう。なんとSainsbury’s②でも、ここでは受付できないから直接Argosストアに行けと言われる。しかも見てみたら、もう閉店時間を過ぎていたArgosストア。明日またこの自転車を持って出直さなければいけなくなった。
いや、ちょっと待てよ。なんで店舗のスタッフが正しい返品ストアの場所を認識していないんだよ! なぜわたしはたらい回しにあって、面倒を被っている! この一連の自転車関連ストレスがボルテージに達し、わたしはSainsbury’sのスタッフにキレていた。
グラフィティされちゃっているシェアサイクルLime
所詮キレたところで何も変わらないので、また翌朝言われたArgosストアに自転車を持って行った。今度こそ返品できるかと思ったら、スタッフが「あなたはこの商品を自宅受け取りしたので、店舗では返品できません」と一蹴。なんだったんだ! 前日からのストア巡りは!
「段ボールがなくて原状回復できないから、店舗に持ち込んだんだけど」とできるだけ落ち着いて説明したが、向こうはここじゃ返品手続きできないの一点張り。しょうがないから電話で返品できるか聞いてみたら、案の定段ボールに入れて元の形にしてくれないと受け付けられないと言われた。こうなったら知らん、こっちも従順な消費者になっている場合ではない。電話口で、テキトーにやっとくからとにかく自転車を返品させてくれと、なんとか回収日のアポを取ることに成功した。
回収日当日。本当に通販業者が持って行ってくれるか不安だったが、運転手は今までのやりとりなんて全く知らない。ひょいと来て、ぽんと組み立て済みで箱なしの自転車をそのまま回収していった。なんてあっけない結末。最初からこうしとけばよかったんだ.....。自転車はネットで買わない、二度と店舗スタッフのテキトーな指示に従わない、できるだけ情報は自分で調べる、イライラと学びの多い三代目となった...。
本当はこのお兄さんみたいなバイクに乗るはずだったんだわたしも!!
四代目(現役)
四代目は、一代目を街中に放置したとき一緒に付き合ってくれた友達のおかげで見つけることができた。彼もどこへ行くにも基本的に自転車なので、なぜか自転車関連の情報に詳しい。「なんかその辺自転車で走ってたときに、個人が中古自転車を売ってるガレージ見つけたからシェアしとくわ」と住所をくれた。見てみたらそこまで自分の家から遠くなかったので、早速行ってみる。本当に個人の自宅のガレージに、十数台の綺麗めな自転車が値札と共に展示されていた。恐る恐る家主がいるか確認してみると、気の良さそうなおじさんが出てきた。
友達が送ってくれた写真。フリマ感満載だが、値段は激安ではない。
おじさんになんで自転車を売っているのか聞いてみた。盗難車ではないことを確認する意味も込めて。どうやら週に一度ロンドンのかなり南の方の学校に行って、みんなの不要になった自転車を買い取っているらしい。そして買い取ったものを自宅で少しメンテナンスしてから、売りに出しているという。若干今まで買ってきた自転車より割高だったが、ちょうどいいサイズで、かわいい色に惹かれたのでそこで買うことにした。
現在の相棒、ボディがボルドーカラーでいいね。
それからこの自転車をずっと使っている。乗り出してからわずか二ヶ月後に、前輪後輪カバーのパーツが外れ、ギア切り替えのスイッチも壊れてしまった。現在図らずもシングルギアだが、なんとなく致命傷じゃないのでそのまま乗っている。ボディは重いし、スピードも速くはないが、なんとなく体に馴染み始めた相棒。しばらくはよろしく頼もうかな。
ある日自転車置き場に行ったら、なぜかピンポン玉が挟まっていた。
アーカイブはこちらから
Tag
Writer
-
Chika Hasebe
1998年生まれ。2023年5月よりロンドンに拠点を移し、報道記者の仕事に従事する一方、フリーライターとしてカルチャーについて発信もしている。