フランスのアート教育について考える <br>〜リヨン美術館〜

Vive les vacances ! ~Time to spare Heart to spare~ #30

フランスのアート教育について考える
〜リヨン美術館〜

Contributed by Mizuki

Trip / 2023.11.01

Vive les vacation!=“バカンス万歳!”
バカンスを生きがいにし、「暮らし」や「人生」に豊かさを求めるフランス人の生活を表す言葉。そんなフランスに留学中の大学生Mizukiさんが、現地から仕事やお金に執着せず、日々の生活をどう楽しむか、豊かな暮らしを送るヒントをシェア。


#30


リヨンにある『Musée des Beaux-arts de Lyon』(リヨン美術館)に行った時のこと。


 


20人前後だっただろうか、カラフルな服を身に纏った子供たちが列を連ねてやって来た。

そう、これは小学校の「美術」の授業。フランスの幼稚園・小学校などの教育機関では「アート教育」の一環として、美術館に出向いて授業が行われるらしい。


こうやって作品の前に座って先生の話を聞く




先生の話を聞く子供達の眼差しは真剣そのもので、彼らの「学ぶ姿勢」に私は関心してしまった。でもそれは自然なことだと思う。単純に、作品を目の前にしてその歴史や背景を知ることは、ただ教科書や資料集を眺めて先生の話を聞いているよりも10倍楽しいと思うから。目の前の作品を見ながら各々のスタイルで模写する授業もあるんだとか。それが知識や技術として役に立つ役立たないに関わらず、確実に「記憶に残る」学び方だと思う。



以前、フランス人学生とそれぞれの国の「アート教育」についてディスカッションをしたことがある。そこで話題になったのが「アートへのアクセシビリティー」。言い換えると、「アートに触れやすい・行きやすい環境か否か」ということ。リヨン美術館に訪れていた子供達のように、学校などの教育機関がアート環境を作り出しているのもそうだが、フランスでは「学生」というだけでアートにアクセスしやすい。例えば、美術館・博物館は学生であれば全て無料で、映画館なども比較的安価な値段で見ることができる(大学生は7ユーロくらい)。さらに、エッフェル塔や凱旋門などの観光名所でも学生書を提示すれば無料で訪問できる。これはフランス人学生の特権であり、アート大国フランスならでは。この環境は自国の美しさを知り、それに誇りを持つためにも大切なことだと思う。日本にも美しい美術館・博物館、歴史的建造物があるのに「入場料が高いから」と言って行かない選択になってしまう可能性があるのは残念だなと思う。

私も留学生ではあるが、フランスの大学に在籍している限り「フランスの学生」ということになるので、他の正規の学生と同じような扱いになる。そんなラッキーなことはない! この一年たくさんアートに触れるぞ!



リヨン美術館(Musée des Beaux-arts de Lyon):古代文明から現代までのアート作品が揃うフランス、ヨーロッパ内でも大規模な美術館。パリの『ルーブル美術館』ほど大き過ぎず、観光客も少ないので、リラックスした雰囲気でアートを楽しめる。


À bientôt!



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