True Feeling in Ireland #36
目的はなんだったっけ?なスペイン旅
Contributed by Chika Hasebe
Trip / 2020.10.23
#36
突然サークルの同期が日本からスペインに来ると連絡があった。とにかく知り合いが恋しいわたしは飛んでいくことにした。もともとスペイン自体には興味があったけれど、あまりに有名すぎて、行くのを憚られていたという節がある。でも、それ以上に気心知れた同期に会える方が自分にとっては大切で、すぐさまマドリード行きのフライトとAirbnbで宿を予約した。
こんなに浮き足立っているけれど、結論をいうと同期には会えず、1人でマドリードを旅して、ひたすら寒くて、風邪をひいて帰ってきた、そんな旅だった。
まずフライトに乗り遅れそうになる。もうアイルランドに住んで6ヶ月目で、ここの交通状態がどれだけ地獄か知っていたにも関わらず、予定より家を出るのが遅くなってしまった。別で用事があったホストブラザーのDavidが車を出してくれたが、ずっと間に合うか2人で本当にヒヤヒヤしていて、彼の方がなんなら心配していた。搭乗開始予定時刻はとっくに過ぎていただけでなく、ターミナルを間違えるという痛恨のミスを犯して、初めて空港内を走るという惨事。幸いキャリーケースは持っておらず、バックパックひとつだったので、色々な待ち列をスキップさせてもらいながら、なんとか搭乗口に間に合った。運よくフライトが遅延していて、落ち着いてから搭乗できたが、こんなことは二度とないようにしようと今回ばかりは痛い目にあった。珍しくDavidがすごく怒っていた。心配をかけて、彼を焦らせて申し訳ない気持ちだった。
そんな波乱の始まりで迎えたマドリード。現地に着くと、もうすでにあたりは真っ暗だったので、とりあえずAirbnbに向かう。よく日本の電車の正確さとかが話題になるけど、ここの地下鉄もなかなかオンタイムだった。こういう意外な事実を感じることができるのも旅の醍醐味。Airbnbのホストは、最寄り駅までお迎えに来てくれて、最初からホスピタリティ爆上がりだった。ホストのお姉さんは、自分自身もドイツからスペインに移り住んで来たらしく、わたしの滞在中にお茶やら朝ごはんやらフレッシュすぎるオレンジジュースやらを色々と出してくれた。お勧めのレストランとかも教えてくれて、後にも先にもわたしの中でベストホストだった。
翌日からは美術館巡りと市街地散策。とにかくなにも調べず来たので、マップ片手に面白そうなところにフラフラと入ってみる。昼はみんながムール貝を立ち食いしている姿に惹かれて、お店に吸い込まれて行った。
みんな食べた後の殻は、ガチャガチャと下に落とす。このシステム、掃除も楽なので非常に賢い(笑)。
美術館では学生料金で入館できるとどこかで調べて出てきたはずなのに、どうにもあらゆる場所が無料で入れてしまう(笑)。ありがたいけれど、本当にいいの? って疑問。プラド美術館はとにかくゴヤの絵が圧倒的だった。いろんなクラシックな美術館を回ってきたが、正直違いとかよくわからず感動も鈍ってきていたけれど、ゴヤ特集は面白かった。
夜はスペインらしくワインを飲んで、気持ちよく夜道を歩いて帰った! 明日は同期に会えるかな〜と淡い期待を膨らませる。
2日目は宮殿に向かってAirbnbから歩くも、予約をしていなかったせいで全然入れそうもないので、代わりに近くの装飾美術館に行った。スペインの交通事情についてあまり詳しく調べていなかったので、終始徒歩を選択。着いた頃にはヘトヘトだった。
昼ぐらいまでなかなか同期と連絡が取れず不安になりつつも、街をぶらぶらとしていた。スペインと一口にいってもいわゆる観光地的なのは、すべてバルセロナに集約されていて、マドリードは首都って感じ。それでも観光客は結構いて、日本人もちらほらと見かけた。事前に調べてヒットした、チュロスが美味しい有名なカフェでは、近くに2組の日本人グループを見かけ、ついつい聞き耳を立ててしまった。どうやら大学生だった。
スペインってダブリンより全然暖かいと聞いていたし、実際に気温も高かったけれど、とにかく風が冷たかった。薄着しか持ってこなかったわたしは、途中から凍えながらの街ブラになってしまった。しまいには外にいるよりも室内で暖をとれる場所を探し始める。足も疲れてきて、初めて教会に休憩するために入った。結構教会内でぼーっとしている人も多く、空調はついていないけれど、外よりは暖かった。
スペイン料理はとにかく美味しかった。でも、イタリアと同様少しオイリーで毎日食べるには厳しい。お土産にハムとムール貝の缶詰を買って帰った。酒飲み用のラインナップ(笑)。
2日目の夜になっても連絡が取れなかった同期は、のちに聞くとホテル以外のところでWi-Fiが使えなかったらしい。いやそれはそうだろとツッコミを入れたくなるものの、海外旅行にそこそこ慣れているわたしと同じ目線で考えてもダメかと諦めた。最後の夜のノスタルジックな街歩きで、west side storyの看板を見て、自分がロンドンに行った時に立てた目標を思い出した。
同期に会いたい一心で訪れたマドリードだったが、結局の目的を果たせずに帰ることに。とにかく2日間寒すぎて、帰ったら案の定風邪をひいてしまった。けれども、Airbnbのホストはとにかく優しくて、ファッションもスタイルが出ていて、タパスも最高なショートトリップだった。
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Chika Hasebe
1998年生まれ。2023年5月よりロンドンに拠点を移し、報道記者の仕事に従事する一方、フリーライターとしてカルチャーについて発信もしている。