
Mamma mia! #134
戦場のクエストゥーラ
Contributed by Aco Hirai
Trip / 2022.11.15
#134
寒空の下、私は闘争心を燃やしながら枯れ葉の舞い散るピアチェンツァの道をずかずかと歩いていた。

ここ最近、秋晴れで空が綺麗だったのに、今日はなんだか一層寒く感じる。
やっと、4月に申請した滞在許可証申請のアポイントの日がやってきたのだ。
7カ月間も待った、今回は特に長かった。
パンデミックが終わり、今まで以上に移民が増えたこともあって、クエストゥーラの入口付近は、たくさんの訪問者で溢れていた。普段のようにお行儀よく列に並んでいないのだ。
「まだ中に入れないのか」
「俺はアポイントがあるんだ、入れてくれ」
そんな言葉と一緒に、入り口に向かって人が押し寄せてくる。
それはまるで、終電間際の満員電車やコンサート会場のようで、小さい私は誰にも気づかれないどころか、もみくしゃにされてみんなに押しつぶされそうになる。
でも、そんなことで怖気付くわけにはいかない。
急にアドレナリンが出てきた私。
小さな体を武器に人と人の間をかき分け、少し前へ出ると、
アポイントの紙が入ったクリアファイルを両手で持って高く掲げ、全力でアポイントがあることをアピールした。
私も鍛えられたものだ(笑)。
というのも、そうでもしないと担当の警察官が
「午後から来い!」
とか
「今日はもう締め切る」
とか、押し寄せる人たちに言い始めたのだ。
必死のもがきの末、近くにいた大男が
「女性(私)が通るから道を開けてくれ!」
と周りにアナウンスしてくれた。
でもこういう場合は、たいていアナウンスをしている人が一番邪魔だったりする(笑)。
そんな戦場となったクエストゥーラの入り口を無事に通過し、敷地内に入ったら今度は中で待機。
中に入れば、人数も制限されるため平和はかなり保たれる(笑)。
はぁ〜、本当に疲れる。
そして順番が来ると数人ごとに移民局の申請場所へ呼ばれ、やっと暖かい館内へ入ることができる。
そこからはスムーズで、名前を呼ばれたら資料をチェックされ、指紋採取をして、問題がなければ申請完了、敷地内の外へ出ると、ようやく戦闘モードを解除できるのだ。
でも、今回は追加で書類を提出するように言われたため、道のりはまだまだ長そう。
問題なのは、追加で提出するように言われた書類はかなり特殊で、事前にそれを提出するように指示された文面がなかったこと。申請して初めて知らされる必須書類。今年の3月に直接クエストゥーラへ聞きに行った時には、そんな書類の話なんてされなかったのだ。なんて効率が悪いのだろう。本当にこのイタリアのシステムは嫌になる(笑)。
結果、たった1時間ちょっとだけど、かなりのエネルギーを消耗してしまった。

そんな次の日の空はこんなに綺麗だった。

大好きなトラットリアでランチ。低温でゆっくり時間をかけて煮込んだ豚肉のほほ肉。かなり美味。

家の前の通りで、月一行われる骨董市もなんだかクリスマスモード。
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Aco Hirai
2004年オーストラリア移住、2005年帰国、2019年マルタ島留学、2020年イタリア移住。 海外で活躍する日本人を取材したImhereマガジンを不定期で発信しています。(インタビュイー募集中)












































































