カニの爪は紋別にあり

To Me, Somewhere in the World #79

カニの爪は紋別にあり

Contributed by Yoko

Trip / 2023.05.17

『“今”の心地よさを一番大切に』
未知なモノすべて知らないことを知りたい、自分に忠実に生きるフリーランスのWebライター・編集者Yokoさん。日本国内の旅の話をリアルタイムで、時に振り返りながらつづる旅連載。


#79


回転寿司でも食べるネタに困った時くらいしか選ばないカニ。道東・釧路の和商市場で足だけになったカニたちを連れて帰り、みんなでしゃぶしゃぶをした夜はとっても楽しかったけれど、カニは、というか海鮮は全般的に特別好きというわけではない。それでもカニはなぜかエンタメ的要素にあふれていて、まあまあ好きな食べ物でもある。富豪の匂いがするからだろうか。


カニの爪。


さて表題の「カニの爪」は紋別にある。近くでみると看板があり、いつかのアートフェスか何かの名残だと知る。知人たちがこのオブジェ……というには憚られるくらいの大きさだったけれど、ともかくそこで写真を撮っていたので、いつか行きたいと思っていて、今回行ってきた。

遠軽(えんがる)から湧別(ゆうべつ)に寄り道しながら、ひたすらバスで紋別へ。バスターミナル近くの宿をとったら、カニの爪までは遠すぎたので翌朝の楽しみに取っておくことに。紋別をさておき、行きたかった滝上までまたひたすらバスで往復して、夕方にようやく宿へチェックイン。部屋の窓から見下ろした景色で、割とここが高台であったことを知る。剥き出しの海が見えてよかったけれど、カニの爪は遠いから見えなかった。


夕方のはまなす通り。夜はネオンでひかる。


紋太の湯であたたまり、食材を買い込んで帰路に。夜が楽しいという「はまなす通り」に突撃しようかと思っていたけれど、冬が開けたばかりの道北の夜は寒すぎた。オトナハムリシナイ、を合言葉(言い訳?)に、ホテルでぬくぬく過ごすことにした。


ここにもカニの爪。


出発の朝、バスでカニの爪の足元まで向かう。空港までの通り道だ。道の駅かどこかにスーツケースを預けてから歩きたかったけれど、諸事情で引きずり倒して進むことに。スーツケースを引きずる音が爆音すぎてやや気まずい気持ちになったけれど、誰にも見られていないので大丈夫(∵ほとんど誰もいない)。

さて目的地までは、明らかに「ここです!!」とカニの爪が主張しているので迷わずに進めたけれど、実物は想像の3倍くらい大きくてちょっとびっくりした。せっかくきたので一周ぐるりとまわってみたら、ちゃんと一周分完成品になっていてほっこり。


氷海展望塔 オホーツクタワー入り口。



流氷の氷と写真が撮れる。


カニの爪をあとにして、さらに海の端の方へ向かう。行ってみたかった海中タワーの海が見えるカフェに行くためには、徒歩かミニバス移動とのこと。(たまたま今日は)お客さんのいないルートを10分おきに走る気持ちはどんなものだろうか、と思いを馳せながらバスに乗り込む。景色を見ただけで満足してしまい、カフェの開店を待てずに帰るなど。帰りはわざわざこちらのペースに合わせて、呼んだら来てくれるという優しいバス。


ピアノもあるオホーツクタワー。


そういえば、ここはかつてバスツアーで来たことがある。団体旅行だったので、近くの紋別空港ではなく女満別空港でのイン・アウト。当時の同行者と強烈なバスガイドさんは元気かな、など思いながら、個人的・北海道未到達の空港へ向かうのだった。これで利尻以外は制覇した(利尻も行ったことがあるけれど船で行った)。

紋別空港、こんな僻地でもほどほどの種類の北海道土産が売られている。紋別タッチをしにくる方向けなのかな。一方で、それにしても本当に(売店も)何もない奥尻空港、がんばれ。と思いながら約1か月の北海道滞在を終えた。



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  • Yoko

    長野在住、北海道出身。世界一周予定が新型コロナウイルスの影響で中止に。東京から葉山、長野へと拠点を移しつつ、国内外を自由に旅している。レバンガ北海道(#11)とアイスが好き。フリーランスのWebライター・編集者。