「そんなに」遠くから?

To Me, Somewhere in the World #56

「そんなに」遠くから?

Contributed by Yoko

Trip / 2022.12.07

「世界一周がしたくて、思い切って会社をやめた」
未知なモノすべて知らないことを知りたい、欲望に忠実に生きるフリーランスのWebライター・編集者Yokoさん。日本国内の旅の話をリアルタイムで、時に振り返りながらつづる旅連載。


#56

言葉の定義は人それぞれ、だとつくづく思う。札幌と横浜で用事があり、長野から札幌に向かったあと、数泊して横浜入り。横浜では友人の家を訪ねた。久しぶりの再会となる彼女たちとの時間は「友だちっていいな……」としみじみ思うほど、心地がよかった。ただ、そこで言われた「長野に住んでるんだよね、そんなに遠くから来てくれてありがとう」にクエスチョンマークが付いたという話。


天気が良かった日の松本。



山から降りて来た友人と蕎麦を食べた日。


そんなに遠くから、ってどこのことだろう。あ、長野か。と思うまでに時間がかかった。なぜなら、長野に住む自分にとってはどこかへ遠出をするためには基本的に関東圏を通らなけれならないので、横浜や東京へ出るのは経由感覚でしかないからだ。遠いという概念にはかすりもしないというか、通過点として捉えている。でも確かにこれは個人的な感覚だよなと思い直し、「あ、うん。いやいや〜」と茶を濁してやりすごすことになった。

ま、振り返れば自分も東京に住んでいた時はあらゆる場所が(行きやすいけれど)遠いな、と思っていたので気持ちはわかるのである。さらに引越し以来、この反応が珍しくないということは身に染みて感じている。ただ、久しぶりに「とんでもなく遠いところから来た」ような反応だったので、その距離感をしみじみ考えてしまった。


長野。みんなで食べた鍋。


幸せの定義は人それぞれ、とよく言うが、もう本当にそれはあらゆることに対して言える。だから面白いし、個性が生まれると思うのだけれど、その違いに寛容でありたい。「こっちの世界が良いよ」文化圏(人)は、うーんなんとも。時と場合によるが。自分としては、その人がよしとする価値観や幸せについては「そういう考えもあるね」という新たな発見として捉えたいと思う。


フルートで飲むお酒が好き。


何事も全ては知ることが始まり。知ることで寛容になりたい、だからいろんな人と話したり、いろんな場所に行ったり、いろんな本を読んだりして世界を広げようとする生き方になった気がする。

今の常識は一部の世界の概念でしかない、ということを知った世界線で生きていたい。なんの話や。


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