Art archive and the land

Piccola Stella #4

Art archive and the land

〜過去作品のアーカイブを撮影する日々

Contributed by Shiori Ota

Trip / 2024.06.21

人生のインスピレーションを探しに、東京からイタリアへと飛び立った。現地で暮らすように旅をするフォトグラファー・Shiori Otaさんが、道中に撮り続けた写真と共に綴るイタリア滞在記。

#4


この土地では毎年彫刻のアート祭が開催されているらしく、敷地内にはたくさんの大きな彫刻、ダイニングルームには絵画や写真と、様々な作品が飾られていた。私は今回の滞在中、全てのアーカイブ写真を撮影した。

屋外には、大きな彫刻作品があらゆる場所に配置されており、ローリーは案内しながら作家と作品についてたくさん説明してくれた。ローリーはイタリア語訛りの強い英語でたくさん説明してくれたから全ては理解できなかったけど、2014年からアーティストがこの場所にやってきて制作して残された彫刻作品ということを想像すると、見ているだけですごく楽しかった。







2014年から開催されているアートイベントは、たくさんの歴史と人々の交流があったことがとてもよく伝わってきて、ローリーの深い愛に感動してしまったし、アーティストとアーティストをつなぐ楽しさやそこで生まれる新たな可能性はとても興味深く素敵だなと思った。
作品の中には、同じ時期に滞在していたアーティスト同士で一緒に装飾したり、ペインティングをして完成した作品もあるみたい。流動的な場所だからこそ感じられる出会いの奇跡と、それを大切にしている人の気持ちがとても伝わってきた。



ダイニングルームはカオス的美しさのある作品と写真と本がたくさんあって、ローリーたちの私物もたくさん紛れている……過去の写真やポスターのアーカイブ写真が撮りたいと頼まれたものの、それ以前に探し出すのに数日かかったのでした。(焦りは禁物?)





彫刻以外の作品もたくさん。ゲストも、経営しているローリー達のファミリーも同じダイニングルームで食事をする。

作品だけではなく、ここの土地も歴史的な場所だと説明をしてくれて、散歩しながらローリーはそのことを何度も何度も教えてくれたのだった。

“この場所は、紀元5世紀頃のビザンチン時代からの集落の遺跡がたくさんある考古学的なエリアにあります。プールのある敷地のすぐ後ろには、簡単にアクセスできるよく手入れされたビザンチンの墓地を訪れることができます。写真に写っている石の壁は、有名な「Notoの石」の採石場でした。NotoとSiracusa全体の主要なバロック様式の教会や宮殿はすべてこの石で作られています。そして、アグリツーリズモのほとんどの家屋と部屋の家具は、歴史的に復元されたものです。

2014 年以来、毎年夏にアグリツーリズモ* スタリーニ(滞在していた場所)では、アート ワークショップやアート シンポジウムを開催するため、世界中からアーティストを迎えています。そのため、屋外には野外博物館のように石の彫刻や絵画など、屋内には大きなダイニング ルームや古い教会の中に多くの芸術作品があります。この独特な場所の周りを何時間でも歩き回ることができ、貴重な野生の芳香植物の素晴らしい花の香りと色彩に満ちた本物のシチリアの風景に完全に魅了され、決して飽きることはありません。”


*アグリツーリズモとは?
イタリアでは農家に滞在し自然の中でのんびりとカントリーライフを楽しもうという「アグリツーリズモ」滞在がひとつの旅のスタイルになっている。 この言葉はイタリア語で農業を意味するアグリコルトゥラ(Agricoltura)と観光を意味するトゥリズモ (Turismo) が合成してできた造語。





宿泊のゲストや、近くを通ったお客さんも泳ぎにくる、開放的なプール。







私の作品のポストカードもプレゼントするとダイニングルームの一角に置いてくれていた。
(帰国後、他のアーティストに見せて紹介してくれていたみたい)



広い世界だけど、シチリアの自然の中でこんな風に作品を置いて帰ることができて、これからすれ違う人たちのことを思うととてもロマンチック。





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