The Route #10「anna magazine編集長の取材日記」

「アベンジャーズとロードトリップ」

anna magazine vol.11 "Back to Beach" editor's note

Contributed by Ryo Sudo

Trip / 2018.05.19


「アベンジャーズとロードトリップ」


3/26。

昨日の続き。日記用のノートがここで切り替わったからだね。

container boxの中が充実。右端が2冊の日記帳。

LA到着後に予定していた取材がひとつ直前でキャンセルに。
ファッションイベントをオーガナイズするUCLAの学生たちの取材だったけど、彼らの突然の心変わりで連絡も取れなくなる。よくあることだし、特に慌てることはない。今はスプリングブレイク中だしね。ともかく、学生の気分はくるくると目まぐるしく変わるものだ。自分もそんな感じだったっけ。

コーディネーター(彼はそれが専門じゃないけど)は、そんなことを見越してバックアップを用意してくれていた。
州立大学の演劇過程に通う女の子たちのグループということで、とても面白そうだ。
彼はパーティのオーガナイズが本業にも関わらず、コーディネートをお願いしても本当に気が利く人だ。話した感じはぶっきらぼうなのに、相手のニーズに思いを馳せていつも細やかな気配りをしてくれる。取材対象にも、僕たちにも。関わる全員がハッピーだ。こういう人が取材チームにいてくれるのは、とてもありがたいことだと思う。

ジャニスがライブをしたライブハウスに立ち寄る

夕食は「藪そば」。

すでにロードトリップ7日目で「アメリカ風味」にうんざりしていた僕たちは、枝豆に冷奴、しらすサラダに鶏の照り焼き、あとは鴨南蛮と、メニューを片っ端から頼んだ。

anna magazineの兄弟誌、LUKE MAGAZINEの新構想をカメラマンとライターの2人に話す。彼らは僕たちの意図をすぐに理解してくれたうえに、とても現実的なアドバイスをくれた。
“Make Sense”
2人のように「自分自身」がはっきりしている人は、あらゆるチョイスにおいて筋が通っている。他の誰かの考えに影響されたり、他の誰かの目を気にしたりして、自分が大事にしている軸をブラすことがない。だから、いつだって選択がシンプルで潔い。
彼らのアドバイスに耳を傾けながら、LUKEは面白くなる、と確信した。

ロードトリップ中の荷物。毎日トランクを出し入れするのでできるだけ荷物は少なくしている。

こちらも旅の必需品。サングラスはもちろん、紙幣が多いのでマネークリップも役に立つ。かっこいいしね。

もうひとつ気づいたこと。

言葉は少ないけど、チームのカメラマンは例え話がすごく上手だ。アルバカーキで取材できずにみんなで後悔しまくっていた「例のスケートポイント」のことをコーディネーターに話す時に、そのまま事実を話すんじゃなく、コーディネーターの仕事であるパーティや音楽に例えて伝える。
「要はさ、たまたまロンドンにいた時に、人生で1番観たいと思っていたアーティストのライブが開催されていたってことを次の日の朝になって気づいた。そんな感じのことなんだよ」
その例え話で誰もが言いたいことを100パーセント理解する。

なにかに置き換えて確認する、というのは取材やインタビューにおいても、とても重要なスキルだ。相手の話を自分では理解しているつもりでも、相手のイメージしている事実とは違っていることも多い。その時「それって、別の話に例えるとこうですよね?」と言えれば、相手とイメージのすり合わせができるからだ。

ともかく彼は「アベンジャーズ」だ。
その圧倒的なコミニケーション力は、もはや超能力そのものだと思う。



夜はフランクリン・アヴェニュー沿いの「Highland Gardens Hotel」に宿泊。
ジャニス・ジョップリンが亡くなった日に宿泊していたホテルだ。
彼女が息を引き取った105室は、今でも宿泊可能で、僕たちが到着した日も部屋はすでに予約されていた。

明日は5人で動く。
きっと旅の流れ方も変わるはず。楽しみだ。


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