interview: Beatrice Domond

About Time #35

interview: Beatrice Domond

Contributed by Sho Mitsui

Trip / 2022.10.31

著名人からアップカマーまで、アメリカ国内に謎のネットワークを持つ彼にしか見えない、コロナ禍以降のアメリカの「リアル」をお届けしてくれた、通訳・翻訳家&カルチャーコーディネーター兼英語教師の三井翔さんの人気連載About Timeが、特別に復活。いま世界から注目されるガールズスケーターの声を届けてくれました。

#35

以下、写真はBeatrice Domondのインスタグラムより引用。

ビアトリス・ドモンド。アフリカンアメリカンであり、女性スケーターとしては若くして多くの成功を収めた稀有な存在だ。フロリダで育ち、5歳の頃、学校の記念撮影の際小道具として置いてあったスケートボードを手にして以来、彼女がそれから手を離す事はなかった。12,13歳の頃には自ら敬愛するスケートフィルマー、ウィリアム・ストロベックやスケーターでありFucking Awesomeを主宰するジェイソン・ディルに自分のいわゆる「スポンサーミー」動画を送り始めた。それによりビアトリスはSupreme初のフルレングス作品である “Cherry”に出演することとなり、彼女はSupremeが契約した初の女性スケーターとなったのだ。そんなビアトリスの活躍はスケートボードという枠に括ることは出来ない。彼女は今までに4冊の作品集をリリースしており、そこでは自身の写真撮影の感度の高さ、そしてコラージュセンスの良さを遺憾無く発揮している。ルイ・ヴィトン生誕200年を記念した “THE TRUNK BY 200 CREATIVES”にも名を連ね、スケートのウィールとトランクを融合した唯一無二な作品を出展した。ファッションセンスの高さだって、彼女のインスタグラム(@beatricedomond)を見れば一目瞭然だ。そんな彼女がこの度、Innen BooksよりSupreme協賛のもと、最新ジン作品 “The One That Got Away”をリリースし、更に2022年8月26日にはFucking Awesome(以下FA)のプロスケーターとなった彼女にリアルな「今」について語ってもらった。

Comtainer(以下C): FAとのプロ契約おめでとう! 彼らとビアトリスは15,16歳からの付き合いだと思うんだけど、当時と「プロ」となった今でFAとの関係性や自分の心境に変化はあった? また、何がきっかけでFAはビアトリスをプロとして認めてくれたのだと思う?

Beatrice(以下B): ありがとう! 変化は特に無いわ。何一つ変わっていない。自分のモデルのボードがリリースされて、「プロ」という肩書きがついただけよ。FAに「認めてもらおう」と思ったことは一度もないわ。一生懸命努力して、何年もの間たくさんの動画を作った。その結果、私がFAにとって価値のある存在になった、ということよ。



C: ビアトリスがビル(ウィリアム・ストロベックの愛称)とディルの事を尊敬しているということは、あなたの過去のインタビューを読めば明らかなわけだけど、何故彼らはビアトリスにとって特別な存在なのかな? また、ボードのプロ契約はFA以外考えられなかった?

B: ビルとディル、二人の事を愛しているわ。私が誰からもサポートされず、注目すらされていない頃から応援してくれていたから。今でこそ私をサポートすることは「クール」な事(彼女がアフリカンアメリカンであり女性スケーターだから)な訳だけれど、彼らはそのずっと前から味方をしてくれた。FA以外は考えられない。私が愛す全てのものにFAの名前を載せるつもりよ。





C: Supremeのフルレングス作品 “Cherry”そして“Blessed”にも出演した時にはモデルとしても同ブランドと関わっている訳だけれどSupremeってビアトリスにとってどんな存在かな? やはり、人生を変えられた感はある?

B: そうね、私はSupremeのライダーよ。Supremeありがとう。

C: 今まで4冊の作品集をリリースしていて最新作”The One That Got Away”はSupreme協賛のもと、スイスのInnenより出版されたね。どの様な経緯でそうなったのかな?

B: Supremeには資金面でサポートしてもらったわ。膝を怪我して3ヶ月間歩けず、6ヶ月間はスケートできなかったからね。



C: 本やジン等の作品を制作する時に心掛けていることは? アートを作る時にビアトリスにとって最も大切な事を教えてくれるかな?

B: 私という人間を鑑賞者に理解してもらうことかな。私が伝えようとしている物語や要点が見てくれる人々にとって明解であるように心掛けているわね。

C: その考え方はビアトリスが自分の靴や(ビアトリスは自身のモデルをVansよりリリースしている)ルイ・ヴィトンのトランクをデザインする時も一貫して変わらない?

B: そうね。全く変わらないわ。私は自分の名前を冠するもの全てに最初から最後まで関わっているわ。私の作品を誰かが「素敵」と言ってくれれば、そのプロジェクトに関わって下さった方々に感謝するし、「駄作だ」と言われたら、全て自分の責任だと感じるの。

C: 故障した膝の手術は2022年の1月に行われ、あなたがトリックをメイクしたのが6月。ビアトリスはその経緯を自分のTikToKアカウント(GODSGIFT @beatricedomond)に載っけているけれど、何が一番辛かったかな? そして、それを乗り越える力になったものって何かな?

B: そうね。時間と忍耐力かな。そして家族と友人。やるべきことをきちんとやる事。週3回の理学療法ね。以上でどうにか乗り切ったというわけ。

https://vt.tiktok.com/ZSRbG1MoU/

C: 膝の故障と手術を乗り越えて、ビアトリス自身のスケートボードに対する考え方や取り組み方に変化はあった?

B: ええ。「最悪」な事態を乗り越えたから。これから先は全力でやるしかないわ。

C: 最新作のジンで一番気に入っているところを教えて。

B: 表紙ね。めちゃくちゃウケるでしょ? 事実だから。


「別に良いわ。この失恋のおかげで私は最低でも$5,000は稼ぐから」


C: NYCでのプロスケーターライフはとても忙しそうだね。ビアトリスの1日ってどんな感じなのかな?

B: 起きたら、まず私事を片付けて、スケートするかパートを録るかね。そして作品を制作して、本を読んで、音楽を聴いたら1日が終わっているわ。

https://vt.tiktok.com/ZSRbscFd7/

C: ビアトリスは女性プロスケーターとして既に多くのことを成し遂げているよね。世界中の女性スケーターがビアトリスに刺激を受けていると思うんだけど、あなたに憧れている若い女性スケーターたちにアドバイスやメッセージをもらえるかな?

B: もちろん! 自分を信じて、他人の批評に耳を傾けてはダメよ。そして、自分がやると決めた事を愛してね。情熱を燃やし、それと共に生きて、呼吸をして…喰ってやる! 位の心づもりでね。少なくても、私はそのマインドでスケートボードに取り組んでいるわ。




アーカイブはこちら

Tag

Writer