Second Day in Sapa

This Time Tomorrow #4

Second Day in Sapa

Vietnam / Second Day in Sapa

Contributed by Natsumi Chiba

Trip / 2019.01.28

現在、東南アジアを旅している千葉夏海さんの旅連載「This Time Tomorrow」。第4回は、前回に続きベトナムのサパ編です。旅先でのリアルな様子をお届けします!




次の日のトレッキングはCat Cat Villageという村を3時間ほど歩くコース。

初日の12kmのトレッキングに比べたらかなり短いが、でこぼこの泥だらけ、スリッピーな道を歩いていかなくてはならない。気を緩めると泥の水溜まりに”ぼちゃん”。写真を撮る余裕もない。



初日と同じようにガイド以外の女性達が続々と合流する。今日は数がかなり多い。それもそのはずかなり落差の激しい道のりで、誰かに手をとってもらわないと下れない箇所もあるのだ。いつの間にかガイドとツアー参加者がほぼ1対1で手をとりあいながら進んだ。

彼女たちはトレッキングシューズなんてはいておらず、長靴や日本でいうトイレ用のサンダルみたいな履き物でスイスイと歩く。彼女たちの足腰の強さには尊敬しかない。トレッキングのゴールは、ウォーターフォール。静かに流れる水と太陽の光りを反射してつややかに光る岩がとても美しかった。



ゴール手前でずっと手をとって助けてくれたガイドの女性に「ユーショッピングフォーミーオケー?」と3回くらい言われ、今回ばかりはNOと言えなかった。そういえば持ってきた小さいポーチが壊れてしまったんだと思い、リップや目薬が入る程の大きさのポーチを購入した。

150,000ドンだった。日本円で大体750円くらい。大した金額ではないが、かなりの観光客価格。(ベトナムでは250円もあればおなかいっぱい食べられる)

サパに来て、ガイドのみんながいなければこんな素晴らしい自然のなかを歩くことはできなかったし、何より自分と育ってきた環境の違いを知ることができたことが大きな経験になった。これもすごくいい買い物だ。私のように初日は断っていた客もみんな「NOと言えなかった〜」と笑いながらお互いの買ったものを見せ合った。



帰りのバスの時間。ハノイに戻る人、違う場所に向かう人、そのままサパにもう一泊する人。それぞれがまた各々の目的地に向かう。旅は出会いと別れの繰り返しだ。ありがとうとまた会おうねのハグをした。

ひとりになった瞬間ちょっと寂しくなる。

「あ、またひとりだ。」

でもすぐまた新しい人に出会うだろうし、新しい経験がこころをあっためてくれるのを分かっているから、自分のルートを立ち止まることなく、前へ前へと進んでいける。

それはすぐに起きた。

ハノイへ戻る途中に立ち寄ったサービスエリア的なところでトイレに入るのに2, 000ドン払わないといけなかった。(日本円で約10円)トイレの前に徴収係のおばちゃんがいる。こまかいドンを5,000ドンしかもっていなかったので、それを渡したのだが、お釣りをちっとも返してくれようとしない。彼女の手にはお釣りになる細かいドン札がたくさんあるのに、だ。

お釣りをくれと言っても英語が通じないどころか、無視され続けた。よく考えれば5,000ドン(約25円)は、そのままあげてもいい額なのだが、さすがに無視はないでしょうと気分が少し悪くなる。

わたしが困っていたところを、すぐ後ろでその様子をみていたマレーシアから来たという女性が、おばちゃんから私が払った5,000ドンを取り戻し、「彼女の分と私の分と、1,000ドンあなたにチップよ。これでいいわよね?」といって私の分まで払ってくれた。そのさりげない優しさが物凄い大人で、かっこよくて感動した。なんて素敵なんだ。それと同時に自分の心の狭さを反省した。

この人はきっと常にみんなに平等に優しくできる人なのだろう。そして余裕がある。私は常にみんなに優しくできているのかな。いや、出来てないときもたくさんある。イライラしてしまったり、小さいことが風船みたいにぷくぷくと膨らんで破裂したりすることもある。

もっと心に余裕をもって、みんなに優しくできるようになろう。そうしたらこの旅はきっと、もっといいものになるはず。

困っているひとがいたら助けよう。学びの多いサパの旅だった。またすぐにサパに戻りたいな。いつになるか分からないけど、そのときまでには、余裕のある優しい人間になっていようと思った。

To Be Continued.


BGM: Where do you go to my lovely / Peter Sarstedt


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