ENDLESS SUMMER #1

ニューヨークのリズムで暮らす

Contributed by Daisuke Endo

Trip / oct.03.2018


NYまでの長いフライトのあとJFKのゲートを出て、迎えに来てくれた友達の車に乗り込んだ。
僕はといえば窓から見える夕陽に照らされたマンハッタンに見惚れている最中だというのに、
友達は見飽きているのか、まったく意に介さず矢継ぎ早にいろいろな話を振ってくる。

しばらく会わない間に話したいことが溜まっていたらしい。
僕の将来に関するありがたいお言葉から日本のテレビの話、ケイト・スペードの突然の訃報についての意見まで彼のトークは止むことなく、ウィリアムズバーグまでの道はあっという間だった。

アメリカ人は食感や味についての表現がとても豊かで本気だと思う。
この晩、友人たちと訪れたのは四角くて巨大な厚切りの食パンのような変わったピザを出す店。
誰もがこのピザがいかにcrunchyかということをジェスチャーも交えて終止全力で情感たっぷりに語り合っている。
日本で大の大人たちがピザの具合を「ん~カリカリだぜ!」「な、カリカリだな!」と無邪気に言い合っているのを想像したらなんだか滑稽で、と同時に、「あ、アメリカにいる。」と実感が湧いて思わず笑った。

泊めてもらうことになった家の主はデザイン関係の仕事をしていて、部屋の趣味を見るとどうやらミニマルなデザインをする人ではなさそうだということは理解できた。
物が多いキッチンには夜中もつけっぱなしになっているカラフルなガーランド、人懐っこい猫が2匹。
ちょっとした人生の節目に得た短い休暇。
始まった瞬間終わりが見えてしまうような数日間の夏休み。

ここ数年は長めの休みをつくってはアメリカに来ていたから今回も例に漏れず。
少しは勝手がわかるニューヨークだし、せわしなくいろいろなスポットをまわるというところよりもこの街で暮らす人のリズムで寝たり起きたり、何にも急かされずに過ごしてみようと決めていた。もしそれで面白いことに巻き込まれたら楽しいし、巻き込まれなかったとしてもいい過ごし方に変わりはない。

だから毎日12時を過ぎた頃にはちゃんとベッドに入ったし、明日の朝は東京での朝と同じように6時前には起きる。通勤時間の地下鉄に乗って、すこし憂鬱そうなコミューターたちに混ざってマンハッタンに行くとか。
何度来てもああアメリカにいるんだなと感じるたび気持ちが高ぶるけど、そういうわけで今回は平静を装ってみている。

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