高鳴る胸の音

Own Beautiful Adventure in CA #5

高鳴る胸の音

Contributed by Nachos

Trip / 2020.02.25

世界中の国々をサーフトリップしながら、女性にフィーチャーした"saltybabe photo"を撮り続けている、フォトグラファーNachosさんの旅連載「Own Beautiful Adventure」。シリーズ3回目となる今回は、California弾丸トリップの模様をお届けします!

#5

またまた夜明け前の暗闇の中を走る車の中。




San diegoに到着して波をチェックをする。
波はありそうだ。
友達と海に入る約束をしていたので待ち合わせ時間よりも少し早くついた私たちはコンビニで待つ事にした。このアメリカのコンビニのコーヒーや飲み物たちのチープだけど色々出来るスタイルがなんとなく好き。



少しすると友達からのメールが鳴り、待ち合わせの海のパーキングへ。
初めて来た場所で、わくわくする。
待っていると大きな白いトラックから大きな体の男性が現れた。
彼はサーシャ。
昔は、PLAYBOYのカメラマンをしていたらしい。
「今は何してるの?」
「俺はスローライフを楽しんでるのさ!ハハハ!!」
いいな。



みんなウエットに着替え、必要な荷物だけ持ち、パーキングから崖の下にある海へと繋がる階段を一列になって降りていく。何段か降りたあたりから広い海を見下ろし、波をチェックする。サーシャが
「この階段の正面から見てあの3、4個めのピークの場所までいくんだ」
と言い、また歩き始めた。

夜明けから入っていた何人ものサーファーとすれ違う。
セミドライやフルスーツ姿の中、またまた私は1人ロンジョンとタッパ姿…笑
あぁ、ウエットスーツが欲しい。それもあったかいセミドライタイプ。
階段を降りると右側はさっき降りてきた崖の壁、左側は海が広がっている。足元の悪い海沿いを歩いていく。この朝はハイタイドという事で、足元にまで波が打ち寄せてくるから歩くのが大変だった。けれども、サーシャ達は慣れているのかスタスタと歩いていく。
ちょ、ちょっと待って…!!



やっとポイントまでつき、水中撮影の機材をチェックしつつ、波の様子やカレントなど海の様子を伺う。サーシャが
「ここのポイントはここからグーフィーの波を撮るのがいいだろうね」
などと色々アドバイスしてくれる。



「あ、そういえばここはstingrayがいるからインサイドは気をつけて歩くんだぞ!」
「うん」(まだあんまりわかってない私)
「最近やられているやつが多いからな!」
「うん! ん…!?ってstingrayってエイの事かー!!!」
そういえば、前回もサンディエゴの他のポイントで海に入ろうとした時にも
「エイがたくさんいるから気をつけて!」
と言われビクビクしながら海に入ったっけ。

今回もビクビクしながら足をスーと這わせるように歩きながらエントリー。水の冷たさを感じつつ、泳いでアウトまで出た。うしろを振り返ると、そこにはいつもとは違ったまだ見たことのない景色が広がっていて、思わず
「わぁっ」
と声がでて思わずニヤついてしまった。

これも私が好きなもので撮りたいもののひとつ。
「海側から見える景色」



海の水は冷たいけれどとても綺麗で、時折顔を手で覆うほど眩しい太陽の光が水面に反射してキラキラしている。
「なんて清々しいんだ!」
と声が出るくらい。
青空の下、海の上、前を見るとみんなの楽しそうな笑顔。振り返ると高い崖があり、その上にはパームツリーと立派な住宅が立ち並んでいる。ふと目をやると、その中のひとつの家から人影が見える。
「きっと毎日この海を見ているんだろうな」
よく見ると家には海まで降りる階段もついている。
海に浮かびながらウキウキウォッチング。



海の中はハイタイドということもあり、少し波が割れずらくてみんな苦戦模様。
でもいい波に乗れると笑顔で
「ヤッター!」
とわざわざ日本語で私に話しかけてくれたり、
「次はロータイドの時を狙って行こう!」
など楽しそうに話しかけてきてくれたりする。友達が私に
「さっきサーシャがNachosは素晴らしい子だね!」
って言ってたよって教えてくれて、余計にウキウキ度が上がってしまった。

ここに来る事ができて本当に良かった。
もはや私には神々しく見える景色のこの海の中で
「どんな青春映画だよ!?」
とツッコミたくなるくらいの勢いで
「地球ありがとう!みんなありがとう!」
って何回も心の中で連呼した。

そんなこんなでエイの存在などすっかり忘れていた私は、ミドルインサイドで波に巻かれ、海面に足がついたときは思わず「おー!!忘れてたー!!!」と今更めちゃくちゃビビった。



昨日まではそれぞれ違う道を歩いていたはずなのに、お互いのことを知らないままだったの
に、こうして偶然にも出会えたこと。

もしかしたら私はこの景色を一度も見ないままだったかもしれないし、その人達と繋がるこ
ともなかったのかもしれない。
広い世界でまだ見ぬ誰かと繋がりが持てたということを考えるとなんだかすごく幸せな気持
ちになる。

今でも目を閉じて思い出すとあの時感じた空気感、水の冷たさ、眩しい太陽の光が鮮やかに
蘇ってきて何だか胸がドキドキしちゃう。


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