1日が25時間になった

Greenfields I'm in love #38

1日が25時間になった

Contributed by Aya Ueno

Trip / 2021.05.21

直感を信じ、ドキドキするものに向かって走り続ける神戸出身の大学生、Aya Uenoさんの連載「Greenfields I'm in love」。自分探しも兼ねたロンドンでの留学生活で、自分の目で見て、肌で感じたありのままの日々の記録をお届けします。

#38

日本から来てくれたなあみんとパリ留学中のまりかとのバルセロナ旅行記も、今日が最終回。
海へ行った私たちは、また服を着替えて電車に乗る。今日は日曜日、夜の9時から宮殿の前で、ダイナミックな噴水ショーが行われるのだ。
以前家族でも来たことがあるからもうびっくりはしないけど、やっぱりここの噴水は、"噴水"の概念を覆す。宮殿の前でド派手に始まったそれは、ものっすごく大きくて、きめ細かく、ゆらゆら揺れていて、何だか繊細だ。

色合いも絶妙だ。



よく見たらまりかだよ。



可愛いガールズたちが肩を組みながら歌ってる。



1番お気に入りの写真。




なあみんとまりかの背中を見ていると、2年前の春に行った、この2人を含めた計7人でのハワイ旅行を思い出した。ヒルトンホテルが所有するビーチでは金曜日だけ見られる花火があって、最後の夜、7人で肩を合わせて見た。花火は手が届きそうなほど近く、そして言うまでもなく綺麗で、それを真っ直ぐみつめるみんながかわいくて、一緒に見られていることが嬉しくて、この瞬間を、この気持ちを、絶対忘れないでいよう! と思った。今、またあの時と同じ温かい気持ち。噴水の水飛沫を少し浴びて笑いながら、綺麗だね! すごいね! と言い合った。21歳の夏、こうしてバルセロナに2人と来られてよかった。

もう終わりみたいなことを書きながら、次の日に帰る私たちにはまだ少し時間がある。
一昨日チケットが売り切れで中まで入れなかったグエル公園にリベンジ。そして入り口正面を見てびっくり、ド派手な工事をしていた。

ここからバルセロナを一望できた。



そういえばこの日は日差しが強かった。にも関わらず、サングラスもせず目の上を終始手でかざすハメになったのにはちょっと気味の悪い理由がある。
去年買った、お気に入りのトムフォードのサングラスがある。曇り空の多いロンドンはともかく、バルセロナでは今年では類を見ないほど活躍していた。けれど昨日海から一旦家に帰ってマジカ噴水へ行く時、真っ暗な噴水ショーで、サングラスいる? とふと思い、私はサングラスをベットに置いて家を出た。
そして次の日、私のサングラスがないことに気がついたのだ。しかも恐ろしいことに、まるでそのサングラスの代わりとでもいうように、近くにはハートのフレームをした、全く身に覚えのないサングラスが置いてあった。二つ前の記事にも書いたのだけど、ここはオーナーとフラットシェアするタイプの宿で、昨日からは隣にはもう1組のお客さんがいる。部屋にはロックがなく、小学校のトイレの掃除道具をしまうスペースに付いていそうな超簡易的なフックで扉を閉じていた。サングラスの件はだれがそうしたのか知らないけど、ちょっとおかしいし、奇妙で不可解な体験であったことは間違いない。

椰子の木見つけ!



グエル公園、おじいさまおばあさまツアーをぱしゃり。



可愛い女の子がいる。



写真撮ってもいい?いいよ!



そんなわけで眩しかったグエル公園のあとは、行ってみたかったカフェへ。これぞインスタ映え!!! っていう感じの内装だ。ここはバルセロナで何店かあり、いつも行列のカフェ。この日は幸運なことにちょっと列も短い。
席をゲットして、店内に溢れかえるいかにもインスタグラマーみたいな人達に少し気負いしながら、負けじと見た目の可愛さ満点のメニュー(全部そうだった)を頼む。れんこんには着色がされているし、こんなに可愛いから味にそこまで期待してなかったけど、予想に反してすっごく美味しかった! しかも毒々しい着色も全部、自然の色素を使っているらしい。人気な訳だ。

パンもふわっとしてて美味しい!



そのあとはピカソの美術館へ行ったり、ピカソが通い詰めたというカフェへ行った。フライトの時間は遅かったから、のんびり観光をした後、私たちは次の目的地、ロンドンへ向かう。次にバルセロナに来るのはいつになるだろう。旅も後半戦に入った。楽しいけれど、だんだんお別れが近づいているのがもう既に、ちょっと寂しい。

実際の写真や模写と、ピカソが描いたそれを見比べるのは楽しい。



荷物がなかなか来なかったから、ロンドンに着いて、やっと外に出られたのは夜の11時くらい。クタクタだというのに、到着したサウスエンド空港から中心地への電車はクローズしているし、バスは全然ないしで途方に暮れた。どうやって帰ろうかと、こっちで使っている乗り換え案内のアプリを使ってロンドンまでの行き方を調べると、信じられないことに、“タケコプターで88分"と表示された。日本では東京くらいしか適応していないこのアプリ、何が起こってタケコプターという交通手段を取り入れたのか分からないけど、ここまでくると笑えてくる。結局、キングスクロス行きのバスが突然来たから、慌てて乗り込む。

そういえば、スペインはイギリスより1時間遅れているから、今日は一日25時間。なんだか変な感じだ。

バルセロナ、またね!




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